あめ

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トロコイドの話

トロコイドという曲線を知っていますか?

トロコイド (trochoid) とは、円をある曲線(円や直線はその特殊な場合)にそってすべらないように転がしたとき、その円の内部または外部の定点が描く曲線。Wikipedia-トロコイド

少しわかりづらいですね.トロコイドの前に、まずはサイクロイドを紹介しましょう。


サイクロイド


サイクロイド (cycloid) とは、円がある規則にしたがって回転するときの円上の定点が描く軌跡として得られる平面曲線の総称である。一般にサイクロイドといえば定直線上を回転するものを指すことが多い。Wikipedia-サイクロイド

簡単に言えば、円を転がした時に、円周上の一点がどのように動くかを考えたものです。

f:id:aau_square:20160721001428p:plain

サイクロイドは、このような曲線を描きます。

円の半径と回転角をそれぞれ{r,\theta}とした時、サイクロイド

{ \displaystyle
\left\{\begin{array}{l}x=r\theta-r\sin\theta\\y=r-r\cos\theta\end{array}\right.
}

と表されます。このときの{\theta}は、媒介変数とかパラメータとか呼ばれます。{x,y}の仲立ちをしている変数という意味。{\theta}が決まれば{x,y}の値が求まり、この曲線上の点の位置がわかります。

三角関数の基本



まずは三角関数の確認しましょう。


定義の確認です。上図のように、半径{1}の円周上{x}軸から角度{\theta}の点があります。このとき、{x,y}座標をそれぞれ{\cos\theta,\sin\theta}と書くと決める。たったそれだけです。

このときの角度{\theta}ラジアンという単位です。図にもありますが、半径{1}の円の弧の長さが角度に等しいと決めた単位です。円周の長さ{2\pi r}を考えれば、{360^\circ}{2\pi}に対応していることがわかりますね。



先ほどの式を求めるためには、下図を考えます。


原点から円の中心円の中心から円周上の点に分けて求めましょう。

さっき確認した通り、半径{r}の円が回転した分の弧の長さは{r\theta}です。転がしているので、{x}軸を進んだ距離と同じ長さになります。半径{r}が高さとなり、円の中心の座標は

{\displaystyle
\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}r\theta\\r\end{pmatrix}
}

と表せます。

次に円の中心から見た、点までの距離を考えます。円の一周が{2\pi}の角度なので、x軸に接するところは{\frac32\pi}となります。そこから角{\theta}だけ戻るから、角度は{\frac32\pi-\theta}となりますね。だから

{ \displaystyle
\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}r\cos\left(\frac32\pi-\theta\right)\\r\sin\left(\frac32\pi-\theta\right)\end{pmatrix}
}

以上より二つを足して、

{ \displaystyle
\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}r\theta\\r\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}r\cos\left(\frac32\pi-\theta\right)\\r\sin\left(\frac32\pi-\theta\right)\end{pmatrix}
}

ここでやめても良いですが、これを整理すると

{ \displaystyle
\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}r\theta\\r\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}r\sin\theta\\r\cos\theta\end{pmatrix}
}

という式が得られます。

形は違いますが、同じ意味の式になります。上と下で、別々に考えてみてください。ベクトルを使った書き方をしています。

トロコイド



次に、トロコイドを考えましょう。
トロコイドの定義には、円の内部または外部の定点と書いてありましたね。

これは、サイクロイド曲線とはどのように違うのでしょうか?

簡単に言えば、サイクロイドの定点を円の中心から近づけたり遠ざけたりしたものとなります。

f:id:aau_square:20160721001450p:plain

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このように、円の内部または外部の点となっています。

先ほどのサイクロイドの式

{ \displaystyle
\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}r\theta\\r\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}r\sin\theta\\r\cos\theta\end{pmatrix}
}

を見ると、円の中心からの距離は右側の項に対応しています。

だから、この長さを変えるために右側の項に定数{k}を掛ければ、

{ \displaystyle
\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}r\theta\\r\end{pmatrix}-k\begin{pmatrix}r\sin\theta\\r\cos\theta\end{pmatrix}
}

このようにトロコイドの式になります。

{ \displaystyle
\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}r\theta-kr\sin\theta\\r-r\cos\theta\end{pmatrix}
}

上のようにも書き換えられますね。

遊べます



下のURLから、実際にトロコイドを動かせます。

トロコイド-Desmos

{a}が回転角、{k}が半径に対する比に対応しています。